ゆきの物語

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richvh
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Post by richvh » Thu 11.30.2006 11:50 pm

Chapter 29, with all but the very end corrected by furin in chat. (Furin was also very helpful as a sounding board for some of the ideas in this chapter.)

第二暑繽ヘ
狐との会話

ある日、ゆきは城の庭を一人で歩いていました。少しして、岩に腰を下ろしたまま泣き出してしまいました。

すると、聞き覚えのある声がしました。「大切な人よ、どうして泣いているのですか。まだ幸せに巡り会えないのですか」

ゆきは躍り上がって立ちました。「あっ!びっくりしました。狐どの、すみません。こんなところにいらっしゃったとは。ちょっとお待ちください。あちらの茶室でお茶でも入れますから」

「いえ、いえ、結高ナす。ここに座って、あなたの悩みをお聞きしましょう」狐がそのように言ってから、ゆきはもう一度岩に沈み込みました。

「生活のすべてがあまりにも目まぐるしく変わっていきますし、相談できる友達もおりませんし、殿は優しい方ですが、昼間に忙しくて私のことなど蚊帳の外になっております。新しい老中は政治についていろいろと教えてくれますが、やはり私より殿のそばでお仕えしていますので、私はいつも自分が役立たずになってしまったような感じがしています。それにこの頃は何故か胸が痛くなったり、毎朝吐き気がしたり…」と、ゆきはしくしく泣きはじめました。

「失礼ですが、最近の月の物はあまりしたか」と狐は聞きました。

ゆきは、「あの、結婚式の前でした…六、七週間でしょうか」と答えました。

狐は、「あなたは百姓育ちだったと思いますが、そういうことについて何か教えてもらったことはありませんか。ゆきさん、その吐き気はつわりです。あなたは妊娠しているのです」と言いました。

ゆきはもう一度躍り上がって立ちました。「妊娠?私のお腹に赤ちゃんがいるのですか。今すぐ殿にお伝えしなければいけません」

「待って、待ってください」と狐はゆきを止めました。「それは後にした方がいい。今はまず、他の悩みについて話しましょう。生活の変化についていけなくなったような感じがある時、静かな場所で気晴らしでもしてみたら良いですよ」

「気晴らしといっても、どんな事をすればいいのですか」とゆきは聞きました。

狐は、「いろいろあるでしょう。縫い物とか、料理とか、読書とか…」と言うと、ゆきは顔を上げました。

「読書ですか。本を読むとは大好きです。でも…」とゆきは言うと、顔がもう一度うつむきました「でも、このごろは読むといっても、政治に関したものばかりしか読んでいなくて…」

「この城には面白い本がありませんか」と狐は聞きました。

「ないみたいです。前の大名は読書が好きではないようでした」とゆきは答えました。「父上の城にはたくさん面白い本があるのですが」

「お父上に本を貸していただけるよう、お願いの手紙を書いてみてはどうですか。あるいは、この町の商人をあたって面白い本を探してみませんか」と狐は尋ねました。

「この町の市場では、まだ買い物をしたことがありません。私と一緒に行ってくださいませんか」とゆきは聞きました。

狐は、「ご主人と一緒に行った方がいいのですが、それが無理なら私があなたと行きましょう。でも、その前に他の悩みについて話しましょう。城の女性達とは旨くやっていますか」と言いました。

ゆきは、「いいえ、皆私を避けているようです。私が百姓の出身だからと言って蔑んだり、着ている服が殿の妻に相応しくないと悪口を言ったり。そういう訳で、彼女たちは私と話もしてくれません」と答えました。

狐は、「茶道家のような格好をしていたのでは、殿の妻として相応しくないでしょうね。買い物に行った時、ついでに着物も買いましょう。その大きな町には時、誰か顔見知りがいますか」と言いました。

ゆきは、「あの…温泉の女将さんがいます」と答えました。

狐は、「女将さんですか。彼女なら人を使うことが出来るでしょう。あなたの身の回りの世話をしてもらうために、城で働いてもらうことにすれば良いかもしれませんよ。それに、私の娘の一人が人間について興味しんしんです。もうすぐここへ訪ねてくると思います」と言いました。

「娘さんがここへ訪ねてくるなんて、楽しみです」とゆきは答えました。

狐は、「もう一つ悩みがありますね。お年はおいくつですか」と聞きました。

ゆきの答えは、「庶オ歳です」

狐は、「庶オ歳ですか。あなたが男であって、生まれた時からずっと政治のことを勉強していたのなら、国を治めることについての問題はないのですが。あなたには、まだまだ経験が足りません。女が国を治めるなどということは非常なことですよ。男であるご主人が実験を握りたがるのは自然ことです。難しい問題ですね。しかし、もしあなたは勉強を続けたり、ご主人と老中との会議に出席したり、気の利いた質問をしたり、だんだん良い提案をしたりするなら、もしかしてだんだん治めることは許されるかもしれません」と言いました。


Edit: corrections from mixxer

第二暑繽ヘ
狐との会話

ある日、ゆきは城の庭を一人で歩いていました。少しして、岩陰に腰を下ろしたまま泣き出してしまいました。

すると、聞き覚えのある声がしました。「大切な人よ、どうして泣いているのですか。まだ幸せに巡り会えないのですか」

ゆきは躍り上がって立ちました。「あっ!びっくりしました。狐どの、すみません。こんなところにいらっしゃったとは。ちょっとお待ちください。あちらの茶室でお茶でも入れますから」

「いえ、いえ、結高ナす。ここに座って、あなたの悩みをお聞きしましょう」狐がそのように言ってから、ゆきはもう一度岩陰に座り込みました。

「生活のすべてがあまりにも目まぐるしく変わっていきますし、相談できる友達もおりませんし、殿は優しい方ですが、昼間は忙しくて私のことなど蚊帳の外になっております。新しい老中は政治についていろいろと教えてくれますが、やはり私より殿のそばでお仕えしていますので、私はいつも自分が役立たずになってしまったような感じがしています。それにこの頃は何故か胸が痛くなったり、毎朝吐き気がしたり…」と、ゆきはしくしく泣きはじめました。

「失礼ですが、最近の月の物はあまりしたか」と狐は聞きました。

ゆきは、「あの、結婚式の前でした…六、七週間でしょうか」と答えました。

狐は、「あなたは百姓育ちだったと思いますが、そういうことについて何か教えてもらったことはありませんか。ゆきさん、その吐き気はつわりです。あなたは妊娠しているのです」と言いました。

ゆきはもう一度躍り上がって立ちました。「妊娠?私のお腹に赤ちゃんがいるのですか。今すぐ殿にお伝えしなければいけません」

「待って、待ってください」と狐はゆきを止めました。「それは後にした方がいい。今はまず、他の悩みについて話しましょう。生活の変化についていけなくなったような感じがある時、静かな場所で気晴らしでもしてみたら良いですよ」

「気晴らしといっても、どんな事をすればいいのですか」とゆきは聞きました。

狐は、「いろいろあるでしょう。縫い物とか、料理とか、読書とか…」と言うと、ゆきは顔を上げました。

「読書ですか。本を読むとは大好きです。でも…」とゆきは言うと、顔がもう一度うつむきました「でも、このごろは読むといっても、政治に関したものばかりしか読んでいなくて…」

「この城には面白い本がありませんか」と狐は聞きました。

「ないみたいです。前の大名は読書が好きではないようでした」とゆきは答えました。「父上の城にはたくさん面白い本があるのですが」

「お父上に本を貸していただけるよう、お願いの手紙を書いてみてはどうですか。あるいは、この町の商人をあたって面白い本を探してみませんか」と狐は尋ねました。

「この町の市場では、まだ買い物をしたことがありません。私と一緒に行ってくださいませんか」とゆきは聞きました。

狐は、「ご主人と一緒に行った方がいいのですが、それが無理なら私があなたと行きましょう。でも、その前に他の悩みについて話しましょう。城の女性達とは上手くやっていますか」と言いました。

ゆきは、「いいえ、皆私を避けているようです。私が百姓の出身だからと言って蔑んだり、着ている服が殿の妻に相応しくないと悪口を言ったり。そういう訳で、彼女たちは私と話もしてくれません」と答えました。

狐は、「茶道家のような格好をしていたのでは、殿の妻として相応しくないでしょうね。買い物に行った時、ついでに着物も買いましょう。その大きな町には時、誰か顔見知りがいますか」と言いました。

ゆきは、「あの…温泉の女将さんがいます」と答えました。

狐は、「女将さんですか。彼女なら人を使うことが出来るでしょう。あなたの身の回りの世話をしてもらうために、城で働いてもらうことにすれば良いかもしれませんよ。それに、私の娘の一人が人間について興味しんしんです。もうすぐここへ訪ねてくると思います」と言いました。

「娘さんがここへ訪ねてくるなんて、楽しみです」とゆきは答えました。

狐は、「もう一つ悩みがありますね。お年はおいくつですか」と聞きました。

ゆきの答えは、「庶オ歳です」

狐は、「庶オ歳ですか。あなたが男であって、生まれた時からずっと政治のことを勉強していたのなら、国を治めることについての問題はないのですが。あなたには、まだまだ経験が足りません。女が国を治めるなどということは非常なことですよ。男であるご主人が実権を握りたがるのは自然ことです。難しい問題ですね。しかし、もしあなたは勉強を続けたり、ご主人と老中との会議に出席したり、気の利いた質問をしたり、だんだん良い提案をしたりするなら、もしかしてだんだん治めることは許されるかもしれません」と言いました。


Edit: corrections from Furin

第二暑繽ヘ
狐との会話

ある日、ゆきは城の庭を一人で歩いていました。少しして、岩陰に腰を下ろしたまま泣き出してしまいました。

すると、聞き覚えのある声がしました。「大切な人よ、どうして泣いているのですか。まだ幸せに巡り会えないのですか」

ゆきは躍り上がって立ちました。「あっ!びっくりしました。狐どの、すみません。こんなところにいらっしゃったとは。ちょっとお待ちください。あちらの茶室でお茶でも入れますから」

「いえ、いえ、結高ナす。ここに座って、あなたの悩みをお聞きしましょう」狐がそのように言ってから、ゆきはもう一度岩陰に座り込みました。

「生活のすべてがあまりにも目まぐるしく変わっていきますし、相談できる友達もおりません。殿は優しい方ですが、昼間は忙しくて私のことなど蚊帳の外になっております。新しい老中は政治についていろいろと教えてくれますが、やはり私より殿のそばでお仕えしていますので、私はいつも自分が役立たずになってしまったような感じがしています。それにこの頃は何故か胸が痛くなったり、毎朝吐き気がしたり…」と、ゆきはしくしく泣きはじめました。

「失礼ですが、最近、月の物はあまりしたか」と狐は聞きました。

ゆきは、「あの、結婚式の前でした…六、七週間でしょうか」と答えました。

狐は、「あなたは百姓育ちだったと思いますが、そういうことについて何か教えてもらったことはありませんか。ゆきさん、その吐き気はつわりです。あなたは妊娠しているのです」と言いました。

ゆきはもう一度躍り上がって立ちました。「妊娠?私のお腹に赤ちゃんがいるのですか。今すぐ殿にお伝えしなければいけません」

「待って、待ってください」と狐はゆきを止めました。「それは後にした方がいい。今はまず、他の悩みについて話しましょう。生活の変化についていけなくなったような感じがある時、静かな場所で気晴らしでもしてみたら良いですよ」

「気晴らしといっても、どんな事をすればいいのですか」とゆきは聞きました。

狐は、「いろいろあるでしょう。縫い物とか、料理とか、読書とか…」と言うと、ゆきは顔を上げました。

「読書ですか。本を読むとは大好きです。でも…」とゆきは言うと、顔がもう一度うつむけました「でも、このごろは読むといっても、政治に関したものばかりしか読んでいなくて…」

「この城には面白い本がありませんか」と狐は聞きました。

「ないみたいです。前の大名は読書が好きではないようでした」とゆきは答えました。「父上の城にはたくさん面白い本があるのですが」

「お父上に本を貸していただけるよう、お願いの手紙を書いてみてはどうですか。あるいは、この町の商人をあたって面白い本を探してみませんか」と狐は尋ねました。

「この町の市場では、まだ買い物をしたことがありません。私と一緒に行ってくださいませんか」とゆきは聞きました。

狐は、「ご主人と一緒に行った方がいいのですが、それが無理なら私があなたと行きましょう。でも、その前に他の悩みについて話しましょう。城の女性達とは上手くやっていますか」と言いました。

ゆきは、「いいえ、皆私を避けているようです。私が百姓の出身だからと言って蔑んだり、着ている服が殿の妻に相応しくないと悪口を言ったり。そういう訳で、彼女たちは私と話もしてくれません」と答えました。

狐は、「茶道家のような格好をしていたのでは、殿の妻として相応しくないでしょうね。買い物に行った時、ついでに着物も買いましょう。その大きな町には、誰か顔見知りがいますか」と言いました。

ゆきは、「あの…温泉の女将さんがいます」と答えました。

狐は、「女将さんですか。彼女なら人を使うことが出来るでしょう。あなたの身の回りの世話をしてもらうために、城で働いてもらうことにすれば良いかもしれませんよ。それに、私の娘の一匹が人間について興味しんしんです。もうすぐここへ訪ねてくると思います」と言いました。

「娘さんがここへ訪ねてくるなんて、楽しみです」とゆきは答えました。

狐は、「もう一つ悩みがありますね。お年はおいくつですか」と聞きました。

ゆきの答えは、「庶オ歳です」

狐は、「庶オ歳ですか。あなたが男であって、生まれた時からずっと政治のことを勉強していたのなら、国を治めることについての問題はないのですが。あなたには、まだまだ経験が足りません。女が国を治めるなどということは非常に稀なことですよ。男であるご主人が実権を握りたがるのは自然ことです。難しい問題ですね。しかし、もしあなたがこのまま勉強を続け、ご主人と老中との会議に必ず出席したり、気の利いた質問や良い提案ができるようになるならば、そのうち政治の深い部分にまで参加することを許されるかも知れません」と言いました。
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Richard VanHouten
ゆきの物語

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Post by richvh » Sun 12.10.2006 9:45 pm

Chapter 30, most of it corrected by furin and ryokondo in chat:

第三緒ヘ
狐子の紹介

それからゆきは狐と一緒に若殿のところに行きました。

若殿は、「ああ、狐どの、ようこそお出でなさいました。突然のご訪問はどういった訳でしょうか」と聞きました。

狐は、「つい今し方、近くで鼠を狩っていると、聞き覚えのある声で、誰かが泣いているのが聞こえました。その声の主を探し当てて驚きました。いったい、どうしてゆきどのが泣いているのだろうかと。若殿さまと結婚して、お父上の国に帰ってきたのだから、すでに幸せを手に入れたのじゃないかと思っていました。そして、ゆきどのから悩みの相談を受けたのです」と言いました。

若殿は、「なんと。ゆきが泣いていたのですか。どのような悩みがあると聞きましたか」と問いました。

狐は、「それについて触れる前に、まずはゆきどのから、嬉しいお知らせをご報告なさった方がいいでしょう」と、ゆきの方へ向きました。

ゆきは、「私は妊娠したようです」と言いました。

若殿は、「誠か。それが誠なら、大変喜ばしい」と言いました。

狐は言いました、「ゆきどのの悩みは三つあります。まず一つ目。近頃、生活の変化は大きいので、気分が落ち着かないことがあるようです。私が静かな気晴らしを勧めると、ゆきどのは読書が好きだということが分かりました。ただ、ここには面白い本がないようでようでしたので、お父上へ面白い本をお貸し願う手紙をお送りし、また市場でも探してみるといいでしょうと勧めました」

「次の悩みはというと、ゆきどのが百姓のように育ち、いまだに茶道家のような着物を着ているので、それを好ましく思わない人がいるということです。それ故に、市場で殿の妻として相応しい着物を探し、また大きな町の温泉の女将へ、ここではお仕え願う手紙を送るようにと勧めました。それに、私の娘の中の一匹が人間について興味津々のようですから、もうすぐこちらへ訪ねてくると思います」

「三つ目の悩みは、ゆきどのがこの国の政治から疎外されていると感じていることです。言うまでもなく、ゆきどのが勉強を続けたまま、あなたと老中との会議に出席した方がいいと勧めました。会議で気の利いた質問を投げかけたり、良い提案を待ち出してみるのも勧めました」

若殿は、「会議に参加したいというのなら、明日の会議に出席しても良いでしょう。市場への買出しには、代わりに使いを送ってあげましょう」と言いました。

ゆきは、「代わりの使いですか。でも、私が自分で買い物をしたいのです。一緒には行きませんか。それが無理なら、狐どのと行ってもよろしいでしょうか」と懇願しました。

その途端に、小さな声が聞こえました。「私も行きたい」

狐は、「悪戯っ子、姿をあらわせ。いつから私たちを見ていたのか」と棚の方へ向かって呼びかけました。

棚の下から、鼠が出てきたと思うと、あっという間に曙ワ、六歳の女の子の姿に変わりました。

「まぁ、父上ったら。『悪戯っ子』じゃなくって、『狐子』と呼んでください」と言いました。

彼女は背が低くて、長い赤毛や悪戯っぽく輝く黒目をして、とても高級そうな着物を着ていました。

「私は、今まで、京都でいろいろなうわさ話を聞き集めていたのよ。それから家に帰る途中で、父上の『私の娘の一匹が人間について興味津々です』と話す声が聞こえたの。私のことだとすぐに分かったけど、なんで『一人』じゃなくて『一匹』なんて言うの?この、私の姿が『一匹』に見える?。とにかく、父上の話し声を聞いてから、鼠の姿に化けて声の方に這っていったわ。そしたら父上は女の子と話しているじゃない。きっと、あれが例のゆきという娘さんなんだろうと思って、父上が女の子と一緒に出るところに、ついてきたの。買い物のことを聞いたときは、さすがにもう黙っていられなくなっちゃって」

狐は、「この子がもう一度口を開く前に紹介をしておいた方がよさそうですね。これが今話した娘です。狐子や、こちらはこの国の新しいお殿様と、前に話したゆきどのだよ」と言いました。

狐子は、「初めまして。もしゆきさまと一緒に買い物に行って、数日間こちらに訪ねても宜しければ、すごく嬉しいです」と言いました。

若殿は言いました、「初めまして」

ゆきは、「初めまして、こちらこそよろしくお願いします。市場に行きましょう」と答えました。

若殿は、「忙しいので、できない。狐どのたちと行ってもいい」と言いました。

狐は、「殿どの、あなたも時々休んだ方がいいです。では、もし決心を固めたなら、市場へ出発しましょう。また後で会いましょう」と、人間の姿に化けて、ゆきと狐子と一緒に立ち去りました。


Edit: some corrections to the last few paragraphs from furin:

第三緒ヘ
狐子の紹介

それからゆきは狐と一緒に若殿のところに行きました。

若殿は、「ああ、狐どの、ようこそお出でなさいました。突然のご訪問はどういった訳でしょうか」と聞きました。

狐は、「つい今し方、近くで鼠を狩っていると、聞き覚えのある声で、誰かが泣いているのが聞こえました。その声の主を探し当てて驚きました。いったい、どうしてゆきどのが泣いているのだろうかと。若殿さまと結婚して、お父上の国に帰ってきたのだから、すでに幸せを手に入れたのじゃないかと思っていました。そして、ゆきどのから悩みの相談を受けたのです」と言いました。

若殿は、「なんと。ゆきが泣いていたのですか。どのような悩みがあると聞きましたか」と問いました。

狐は、「それについて触れる前に、まずはゆきどのから、嬉しいお知らせをご報告なさった方がいいでしょう」と、ゆきの方へ向きました。

ゆきは、「私は妊娠したようです」と言いました。

若殿は、「誠か。それが誠なら、大変喜ばしい」と言いました。

狐は言いました、「ゆきどのの悩みは三つあります。まず一つ目。近頃、生活の変化は大きいので、気分が落ち着かないことがあるようです。私が静かな気晴らしを勧めると、ゆきどのは読書が好きだということが分かりました。ただ、ここには面白い本がないようでようでしたので、お父上へ面白い本をお貸し願う手紙をお送りし、また市場でも探してみるといいでしょうと勧めました」

「次の悩みはというと、ゆきどのが百姓のように育ち、いまだに茶道家のような着物を着ているので、それを好ましく思わない人がいるということです。それ故に、市場で殿の妻として相応しい着物を探し、また大きな町の温泉の女将へ、ここではお仕え願う手紙を送るようにと勧めました。それに、私の娘の中の一匹が人間について興味津々のようですから、もうすぐこちらへ訪ねてくると思います」

「三つ目の悩みは、ゆきどのがこの国の政治から疎外されていると感じていることです。言うまでもなく、ゆきどのが勉強を続けたまま、あなたと老中との会議に出席した方がいいと勧めました。会議で気の利いた質問を投げかけたり、良い提案を待ち出してみるのも勧めました」

若殿は、「会議に参加したいというのなら、明日の会議に出席しても良いでしょう。市場への買出しには、代わりに使いを送ってあげましょう」と言いました。

ゆきは、「代わりの使いですか。でも、私が自分で買い物をしたいのです。一緒には行きませんか。それが無理なら、狐どのと行ってもよろしいでしょうか」と懇願しました。

その途端に、小さな声が聞こえました。「私も行きたい」

狐は、「悪戯っ子、姿をあらわせ。いつから私たちを見ていたのか」と棚の方へ向かって呼びかけました。

棚の下から、鼠が出てきたと思うと、あっという間に曙ワ、六歳の女の子の姿に変わりました。

「まぁ、父上ったら。『悪戯っ子』じゃなくって、『狐子』と呼んでください」と言いました。

彼女は背が低くて、長い赤毛や悪戯っぽく輝く黒目をして、とても高級そうな着物を着ていました。

「私は、今まで、京都でいろいろなうわさ話を聞き集めていたのよ。それから家に帰る途中で、父上の『私の娘の一匹が人間について興味津々です』と話す声が聞こえたの。私のことだとすぐに分かったけど、なんで『一人』じゃなくて『一匹』なんて言うの?この、私の姿が『一匹』に見える?。とにかく、父上の話し声を聞いてから、鼠の姿に化けて声の方に這っていったわ。そしたら父上は女の子と話しているじゃない。きっと、あれが例のゆきという娘さんなんだろうと思って、父上が女の子と一緒に出るところに、ついてきたの。買い物のことを聞いたときは、さすがにもう黙っていられなくなっちゃって」

狐は、「この子がもう一度口を開く前に紹介をしておいた方がよさそうですね。これが今話した娘です。狐子や、こちらはこの国の新しいお殿様と、前に話したゆきどのだよ」と言いました。

狐子は、「初めまして。私もゆきさまと一緒に買い物に行けると嬉しいのですが、こちらにも何日か訪ねて参ってよろしいですか」と言いました。

若殿は言いました、「初めまして」

ゆきは、「初めまして、よろしくね。一緒に市場へ行きましょう」と答えました。

若殿は、「私は忙しいので一緒には行けません。狐どのたちとなら、行ってもいいでしょう」と言いました。

狐は、「お殿様もも時々はお休みになられた方がよろしいカと存じます。もし気が変わりましたら、ご一緒いたしたいと存じます。それでは、また後ほどこちらへ参ります」と、人間の姿に化けて、ゆきと狐子と一緒に立ち去りました。
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Chapter 31, with corrections from furin, takashi and Tak_C_hara:

第三処齒ヘ
市場へ

ゆきは狐たちと一緒に市場へ向かう途中、狐子といろいろなことについて話し合いました。

ゆきは、「京都から来たばかりなの?面白そうね。でも遠くない?私も行きたいんだけど、何日くらいかかるの?」と問いました。

狐子は答えました、「狐のおまじないのおかげで、あっという間に着いちゃうわよ。まぁ、人間なら数週間はかかるでしょうね」

ゆきは、「狐子ちゃん、それは、他の人と一緒でも大丈夫なの?」と聞きました。

狐子は、「それは無理。狐のおまじないは、自分にしか効かないの」と答えました。

ゆきは、「それは残念だわ。京都では、お姫様がそういう着物を着るの?」と尋ねました。

「そうよ。公家のお姫様だって着てるんだから」と狐子は答えました。

そのようにおしゃべりを続けながら、女の子たちは狐の後に付いていきました。

一方、その城下町の人々はゆきたちを見て、このように話していました。

「あそこに娘さんがいるね」

「あの赤毛の娘さんのことかい?」

「違う。あの赤毛と話してる娘さんだよ」

「ああ、それがどうした?」

「あの人、ゆきさまだと思わないか?」

「そうだ、そうだ。この前、ゆきさまが馬車の屋根の上に乗っていたのを、俺は見たよ。その時も同じような着物を着ていたから、あれはゆきさまに間違いない。それにしても、殿様の奥さんが市場に行くというのも珍しいな。おい、付いていってみたいか?」

「そうだね。面白そうだね。付いていきましょう」

「先に行っててくれ。付いていくのもいいが、俺はまず先に家に寄ってからにするよ。家内がゆきさまに会いたいと言ってたから教えてやらないと」

「そりゃいい思い付きだ。家の子供たちもゆきさまに会いたいと言ってたよ。家族揃ってみんなで市場へ行ってみよう」

道中のあちらこちらから、そのような会話をする人が出てきました。早速、ゆきたちの後をつけ始める人もいれば、家族・親類・友達を集めて大勢で市場へ向かう人たちもいました。
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Chapter 32, with all but the end having been corrected by furin:

第三藷?ヘ
呉服店の中

しばらしくて、ゆきたちは市場に着きました。そして、そこで着物の商人を探しました。

「いらっしゃいませ!きれいなお召し物がたくさんございますよ」と商人は声を掛けてきました。

ゆきは、「このような着物は、ありますか」と、狐子の着物を指差しました。

商人は、「あいにく、そのような高級な着物はございません。京都の最新型なのでございましょう。しかし、私の兄は仕立て屋でございます。ゆきさまの採寸をした後に、お連れの方のお着物を数刻お貸しいただければ、数日後には、同じような着物が仕立て上がるかと存じます。お待ちになる間、お連れの方はどうぞ何でもお好きな着物をお召しください」と言いました。

狐子は、「それじゃあ、ちょっと探してくるわね」と、急いで店の着物を選び始めました。

ゆきは、「あの、私をご存知なのでしょうか。以前どちらかでお会いしましたか」と聞きました。

商人は、「お会いしたことがございませんが、ゆきさまがこの町にご到着なさった時、私は馬車の屋根の上にお立ちになったゆきさまのお声をお聞きしたことがございます。ですから、あなたがこの店をいらっしゃった時、、あの方はゆきさまのようだと感じました。その後お声をお聞きして、確かにゆきさまに違いないと存じました。私はこれから一時失礼いたしまして、兄を連れて参ります。どうぞこのままお待ちください」と、言い残して店から出て行きました。

ゆきは、「あの、皆は私の顔や声を覚えているかしら」と疑問を口にしました。

狐は、「店の外を見ると、その答えが分かりますよ」と、店の戸の方へ指しました。

店の外、たくさんの人々が市場に集まってきていました。あちらこちらで、このような話し声が聞こえます。

「父さん、ゆきさまはどこにいらっしゃるの?」

「母さん、あの店に入ったそうだ」

「どの店の?」

「あの呉服店のようだ」

「お父さん、見えない!肩に座ってもいい?」

「ほら、太郎、上がって」

ゆきは戸の陰から外を覗いて、さっと身を引きました。「あんなに多くの人達がこっちを見ているわ。どうしましょう」

狐は、「これが国境で馬車の上に立って人々に話しこけていた、あの気丈なゆきどのでしょうか」と言いました。

ゆきは、「あれとこれとでは全然違います。今からこの人波を歩かなくてはならないなんて。それに、あの時は父上の家臣が私と共に旅していましたから」と答えました。

狐は、「心配しないでください。あの人たちに聞いて!彼らは争い怒らないで、ものめずらしいだけです。その上、ゆきどのは一人ではありません。狐が二匹」

店の後ろから、狐子は呼びました、「二人!」

狐は続けました、「…横にいます。危険があれば、一匹の狐」

「一人!」

「でも、百騎の家臣が守っているのより無事です」

狐子はゆきのそばに来ました。「父上のいう通りの。この着物はどう?」

折から、商人は戻って、ゆきの採寸を始めました。


Edit: corrections from furin

第三藷?ヘ
呉服店の中

しばらしくて、ゆきたちは市場に着きました。そして、そこで着物の商人を探しました。

「いらっしゃいませ!きれいなお召し物がたくさんございますよ」と商人は声を掛けてきました。

ゆきは、「このような着物は、ありますか」と、狐子の着物を指差しました。

商人は、「あいにく、そのような高級な着物はございません。京都の最新型なのでございましょう。しかし、私の兄は仕立て屋でございます。ゆきさまの採寸をした後に、お連れの方のお着物を数刻お貸しいただければ、数日後には、同じような着物が仕立て上がるかと存じます。お待ちになる間、お連れの方はどうぞ何でもお好きな着物をお召しください」と言いました。

狐子は、「それじゃあ、ちょっと探してくるわね」と、急いで店の着物を選び始めました。

ゆきは、「あの、私をご存知なのでしょうか。以前どちらかでお会いしましたか」と聞きました。

商人は、「お会いしたことはございませんが、ゆきさまがこの町にご到着なさった時、私は馬車の屋根の上にお立ちになったゆきさまのお顔を拝見し、お声をお聞きしたことがございます。ですから、あなたがこの店をいらっしゃった時、、あの方はゆきさまのようだと感じました。その後お声をお聞きして、確かにゆきさまに違いないと存じました。私はこれから一時失礼いたしまして、兄を連れて参ります。どうぞこのままお待ちください」と、言い残して店から出て行きました。

ゆきは、「あの、皆は私の顔や声を覚えているかしら」と疑問を口にしました。

狐は、「店の外を見ると、その答えが分かりますよ」と、店の戸の方へ指しました。

店の外では、たくさんの人々が市場に集まってきていました。あちらこちらで、このような話し声が聞こえます。

「父さん、ゆきさまはどこにいらっしゃるの?」

「母さん、あの店に入ったそうだ」

「どの店の?」

「あの呉服店のようだ」

「お父さん、見えない!肩に座ってもいい?」

「ほら、太郎、上がって」

ゆきは戸の陰から外を覗いて、さっと身を引きました。「あんなに多くの人達がこっちを見ているわ。どうしましょう」

狐は、「これが国境で馬車の上に立って人々に話しかけていた、あの気丈なゆきどのでしょうか」と言いました。

ゆきは、「あれとこれとでは全然違います。今からこの人波を歩かなくてはならないなんて。それに、あの時は父上の家臣が私と共に旅していましたから」と答えました。

狐は、「心配しなくて結高ナすよ。あの声を聞いてみてください。彼らただ、ものめずらしいだけなのです。その上、ゆきどのは一人ではありません。狐が二匹」

店の奥から、狐子は叫びました、「二人!」

狐は続けました、「…横にいます。危険があれば、一匹の狐」

「一人!」

「でも、百騎の家臣が守っているのより安全です」

狐子はゆきのそばに来ました。「父上の言う通りよ。それより、この着物はどう?」

ちょうどその時、商人は戻って、ゆきの採寸を始めました。


Edit: minor correction from mixxer

第三藷?ヘ
呉服店の中

しばらしくて、ゆきたちは市場に着きました。そして、そこで着物の商人を探しました。

「いらっしゃいませ!きれいなお召し物がたくさんございますよ」と商人は声を掛けてきました。

ゆきは、「このような着物は、ありますか」と、狐子の着物を指差しました。

商人は、「あいにく、そのような高級な着物はございません。京都の最新型なのでございましょう。しかし、私の兄は仕立て屋でございます。ゆきさまの採寸をした後に、お連れの方のお着物を数刻お貸しいただければ、数日後には、同じような着物が仕立て上がるかと存じます。お待ちになる間、お連れの方はどうぞ何でもお好きな着物をお召しください」と言いました。

狐子は、「それじゃあ、ちょっと探してくるわね」と、急いで店の着物を選び始めました。

ゆきは、「あの、私をご存知なのでしょうか。以前どちらかでお会いしましたか」と聞きました。

商人は、「お会いしたことはございませんが、ゆきさまがこの町にご到着なさった時、私は馬車の屋根の上にお立ちになったゆきさまのお顔を拝見し、お声をお聞きしたことがございます。ですから、あなたがこの店をいらっしゃった時、、あの方はゆきさまのようだと感じました。その後お声をお聞きして、確かにゆきさまに違いないと存じました。私はこれから一時失礼いたしまして、兄を連れて参ります。どうぞこのままお待ちください」と、言い残して店から出て行きました。

ゆきは、「あの、皆は私の顔や声を覚えているかしら」と疑問を口にしました。

狐は、「店の外を見ると、その答えが分かりますよ」と、店の戸の方へ指しました。

店の外では、たくさんの人々が市場に集まってきていました。あちらこちらで、このような話し声が聞こえます。

「父さん、ゆきさまはどこにいらっしゃるの?」

「母さん、あの店に入ったそうだ」

「どの店の?」

「あの呉服店のようだ」

「お父さん、見えない!肩に座ってもいい?」

「ほら、太郎、上がって」

ゆきは戸の陰から外を覗いて、さっと身を引きました。「あんなに多くの人達がこっちを見ているわ。どうしましょう」

狐は、「これが国境で馬車の上に立って人々に話しかけていた、あの気丈なゆきどのでしょうか」と言いました。

ゆきは、「あれとこれとでは全然違います。今からこの人波を歩かなくてはならないなんて。それに、あの時は父上の家臣が私と共に旅していましたから」と答えました。

狐は、「心配しなくて結高ナすよ。あの声を聞いてみてください。彼らはただ、ものめずらしいだけなのです。その上、ゆきどのは一人ではありません。狐が二匹」

店の奥から、狐子は叫びました、「二人!」

狐は続けました、「…横にいます。危険があれば、一匹の狐」

「一人!」

「でも、百騎の家臣が守っているのより安全です」

狐子はゆきのそばに来ました。「父上の言う通りよ。それより、この着物はどう?」

ちょうどその時、商人は戻って、ゆきの採寸を始めました。
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Post by richvh » Sun 12.17.2006 1:23 pm

Chapter 33 (about the first 2/3 have been checked by furin):

第三庶O章
面白い本はどこだ?

仕立て屋がゆきの採寸をして、狐子が着物を着換えた後で、ゆきは言いました、「あの、すみません。面白い本を手に入れるには、どこへ行けばいいですか」

呉服屋は、「時々、本をお売りする行商人がこの町に参りますが、今おりません。兄さん、どす思う?」と言いました。

仕立て屋は答ました、「本さえをお借りできれば、この町におる代書屋が写本をお作りいたしますよ。どのような本をお探しでしょうか」

ゆきは、「『源氏物語』という本が大好きなのです。この町には、そのような本を持っている人がいますか」と聞きました。

仕立て屋は、「この町の長は文士だとの評判ですので、そのような本をお持ちかと存じます。お前、どう思う?」と呉服屋に聞きました。

呉服屋は、「その通りでございます。それに、代書屋ならお持ちの方をご存じでございましょう」と答えました。

ゆきは、「その方々はどちらにいらっしゃいますか」と尋ねました。

呉服屋は、「代書屋の店はこの店から市場の反対側でございます」と言いました。

仕立て屋は、「その通りでございます。それに、こちらへ参る時、この店の前にお立ちの長を拝見しました」と加えました。

ゆきは、「そうですか。では、出かけましょう」と、戸へ向かって歩き始めて、止めて、商人たちへもう一度向きました。「呉服屋さん、私を長に紹介してくれませんか」

呉服屋は、「ゆきさまのお役に立てられれば光栄でございます」と、ゆきと狐たちと一緒に立ち去りました。


Edit: corrections from furin

第三庶O章
面白い本はどこだ?

仕立て屋がゆきの採寸をして、狐子が着物を着換えた後で、ゆきは言いました、「あの、すみません。面白い本を手に入れるには、どこへ行けばいいですか」

呉服屋は、「時々、本をお売りする行商人がこの町に参りますが、今おりません。兄さん、どう思う?」と言いました。

仕立て屋は答ました、「本さえをお借りできれば、この町におる代書屋が写本をお作りいたしますよ。どのような本をお探しでしょうか」

ゆきは、「『源氏物語』という本が大好きなのです。この町には、そのような本を持っている人がいますか」と聞きました。

仕立て屋は、「この町の長は文士だとの評判ですので、そのような本をお持ちかと存じます。お前、どう思う?」と呉服屋に聞きました。

呉服屋は、「その通りでございます。それに、代書屋なら本をお持ちの方をご存じでございましょう」と答えました。

ゆきは、「その方々はどちらにいらっしゃいますか」と尋ねました。

呉服屋は、「代書屋の店はこの店から市場の反対側でございます」と言いました。

仕立て屋は、「はい、それに、さっき私がこちらに戻って参る途中、この店の前で町の長が立っているところを拝見しました」と加えました。

ゆきは、「そうですか。では、出かけましょう」と、戸へ向かって歩き始めたかと思うと、たち止まり、商人たちの方へを向きました。「呉服屋さん、私を長に紹介してくれませんか」

呉服屋は、「ゆきさまのお役に立てられれば光栄でございます」と、ゆきと狐たちと一緒に連れ立ちました。
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Chapter 34, with corrections from furin:

第三庶l章
市場の中

ゆきたちが店を出るとすぐに、大きな喝采が沸き起こりました。一人の老人が箱の上に登って、静かにしなさいという合図をしました。人込みが静かになった後で、呉服屋は、「ゆきさま、こちらは今お話した、町の長でございます」と、箱の上の老人を指差しました。「長さま、こちらはゆきさまとお連れの方でございます」

ゆきは、「初めまして、長どの。こちらは私を手伝ってくれている、新しい友達の狐子とその父上です。よろしくお願いします」と言いました。

長は箱から下りました。「初めまして、ゆきさま。こちらは家内と息子・娘たちの家族でございます。こちらこそよろしくお願いいたします」と、そばに立っている人たちを紹介しました。

ゆきは、「初めまして」と長の家族に言って、長の方へ向きました。「お聞きしたいことがございます。後でお宅に邪魔してもよろしいでしょうか。でも、まず、この市場にいる方々に紹介していただけませんか」

長が「もちろん」と言うが早いか長の妻は、「あなた、失礼ですが、私たちは家に帰って、食事を準備をしておきます」と、立ち去ろうとしました。

四、五歳の男の子は、「おばあさん、おじいさんと一緒に残ってもいい?」と言いました。

長の妻は、「おじいさんは大事なお話をしているから、私と帰りなさい」と答えました。

ゆきは、「問題ありません。あの子は私たちと一緒にいても高「ませんよ」と言いました。

処黶A二歳の女の子は、「おばあさん、私も残っていい?あの子のお守りをしなくちゃ」と聞きました。

ゆきは、「賑やかでいいのですが、皆が私たちといたら、誰がおばあさんを手伝ってあげられますか。その食事の時、また会いましょう」と言いました。

長の妻は、「それなら良かった。では、この二人以外の者は皆、帰りましょう」と、立ち去りました。

それから、ゆきたちは市場のあちらこちらに行って、いろいろな商人やその町の有力者などに紹介されました。

長の孫息子は狐子と話していました。「どうしてお姉さんの髪はそんな色なのか」と聞いたり、「その顔はおかしい。他のを作って」と言ったり、くすくす笑ったりしました。

長の孫娘はゆきと話していました。「お姉さまは姫に生まれたのに、百姓の中で育って、大きな町で有名な茶道家になったりしたなんて、やっと若殿と結婚できても、お父さまの国に帰ってきてしまったんですね。まるでおとぎ話のようだわ」といったり、ため息をついたりしました。

やっと代書屋に着きました。ゆきは、「代書屋さん、『源氏物語』のような本さえ借りてここに持ってくれば、あなたが写本を作ってくださるそうですね」と言いました。

代書屋は答えました、「その通りでございます」

ゆきは続けました、「でも、私が久しぶりに故郷に帰ってきたばかりですので、どなたからそのような本をお借りすればよいのか分かりません。教えていただけませんか」

代書屋は、「『源氏物語』でしたら、あの方にお聞きになるのがよろしいかと存じます」と、町の長を指差しました。

ゆきは、「ありがとうございます」と、次の店へ向かいました。

すべての店を訪ね終えて、人々がほとんど去った後で、ゆきたちは呉服店に戻りました。そこで狐子は元の着物に着替え、それから皆で長の家へと向かいました。


Edit: minor correction from mixxer

第三庶l章
市場の中

ゆきたちが店を出るとすぐに、大きな喝采が沸き起こりました。一人の老人が箱の上に登って、静かにしなさいという合図をしました。人込みが静かになった後で、呉服屋は、「ゆきさま、こちらは今お話した、町の長でございます」と、箱の上の老人を指差しました。「長さま、こちらはゆきさまとお連れの方でございます」

ゆきは、「初めまして、長どの。こちらは私を手伝ってくれている、新しい友達の狐子とその父上です。よろしくお願いします」と言いました。

長は箱から下りました。「初めまして、ゆきさま。こちらは家内と息子・娘たちの家族でございます。こちらこそよろしくお願いいたします」と、そばに立っている人たちを紹介しました。

ゆきは、「初めまして」と長の家族に言って、長の方へ向きました。「お聞きしたいことがございます。後でお宅に邪魔してもよろしいでしょうか。でも、まず、この市場にいる方々に紹介していただけませんか」

長が「もちろん」と言うが早いか長の妻は、「あなた、失礼ですが、私たちは家に帰って、食事を準備をしておきます」と、立ち去ろうとしました。

四、五歳の男の子は、「おばあさん、おじいさんと一緒に残ってもいい?」と言いました。

長の妻は、「おじいさんは大事なお話をしているから、私と帰りなさい」と答えました。

ゆきは、「問題ありません。あの子は私たちと一緒にいても高「ませんよ」と言いました。

処黶A二歳の女の子は、「おばあさん、私も残っていい?あの子のお守りをしなくちゃ」と聞きました。

ゆきは、「賑やかでいいのですが、皆が私たちといたら、誰がおばあさんを手伝ってあげられますか。その食事の時、また会いましょう」と言いました。

長の妻は、「それなら良かった。では、この二人以外の者は皆、帰りましょう」と、立ち去りました。

それから、ゆきたちは市場のあちらこちらに行って、いろいろな商人やその町の有力者などに紹介されました。

長の孫息子は狐子と話していました。「どうしてお姉さんの髪はそんな色なのか」と聞いたり、「その顔はおかしい。他のを作って」と言ったり、くすくす笑ったりしました。

長の孫娘はゆきと話していました。「お姉さまは姫に生まれたのに、百姓の中で育って、大きな町で有名な茶道家になったりしたなんて、やっと若殿と結婚できても、お父さまの国に帰ってきてしまったんですね。まるでおとぎ話のようだわ」といったり、ため息をついたりしました。

やっと代書屋に着きました。ゆきは、「代書屋さん、『源氏物語』のような本さえ借りてここに持ってくれば、あなたが写本を作ってくださるそうですね」と言いました。

代書屋は答えました、「その通りでございます」

ゆきは続けました、「でも、私が久しぶりに故郷に帰ってきたばかりですので、どなたからそのような本をお借りすればよいのか分かりません。教えていただけませんか」

代書屋は、「『源氏物語』でしたら、あの方にお聞きになるのがよろしいかと存じます」と、町の長を指差しました。

ゆきは、「ありがとうございます」と、次の店へ向かいました。

すべての店を訪ね終えて、人々がほとんど去った後で、ゆきたちは呉服屋に戻りました。そこで狐子は元の着物に着替え、それから皆で長の家へと向かいました。
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Post by richvh » Sat 12.23.2006 2:22 pm

Chapter 35. Except for the first paragraph, I haven't gotten furin's corrections yet, though I have gotten a few from ryokondo and mixxer.

第三曙ワ章
長の家の中

間もなく、ゆきたちは長の家に着き、長の妻に玄関先で会いました。「あなた、おかえりなさい。ゆきさま、この粗末な拙宅にようこそ。お上がりください」と言いました。

長が、「ただいま」と、ゆきは「お邪魔します」と言ってから、ゆきたちは長の家に入りました。あっという間に、兄弟・従兄弟たちがゆきといた長の孫たちを取り囲みました。しばらくして、「何をしたの?」とか、「ゆきさまはどんな人?」とかが聞こえました。間もなく、その孫息子は狐子のところに行って、手を掴んで、「お姉さん、またおかしい顔を作って」と言って、子供たちの間に引きました。程なく、子供たちは皆くすくす笑いました。

やがて、長の妻は娘たちの助けで食事を出しました。食事が終わった後で、ゆきは長と内々に話しました。

ゆきは、「長どのは文士だそうですね」と言いました。

長は、「そういうことではございませんが、時々本を読むのをお楽しみいたします」と答えました。

ゆきは、「『源氏物語』のような本を市場で探していました。呉服屋たちも代書屋も、長どのに話した方がいいと言いました」と言いました。

長は、「『源氏物語』なら、家内とお話になるのが宜しいかと存じます」と答えました。

ゆきは、「畏まりました。奥さまとお話する前に、何か私に仰りたいことはございますか」と聞きました。

長は、「この国の村の間の道はあまり良くないそうでございます。百姓にとって作物をこの町へ運ぶのは難しいそうでございます」と言いました。

ゆきは、「はい。主人はこの国の実権を握っているので、必ずこのことを報じておきましょう。では、奥さまにお話しても宜しいですか」と答えました。

それから長は妻を呼び出しました。ゆきはもう一度本を探すことを言いました。「そのような本をお持ちになっていますか」と聞きました。

長の妻は、「その通りでございます」と言って、ゆきを他の部屋に導きました。そこで、ゆきはびっくりしました。数渚?フ本を見ました。

ゆきは、「それほどの本があります!一冊を借りてもよろしいですか」と聞きました。

長の妻は、「ゆきさまは有名な茶道家であるそうでございます。もしゆきさまの茶道を拝見すれば、何冊でも貸しても高「ませんよ」と答えました。

それからゆきは皆に茶道をしました。その後で、ゆきは長の妻の助けで面白い本を選んで、狐たちと一緒に城へ戻りました。


Edit: corrections from furin

第三曙ワ章
庄屋の家の中

間もなく、ゆきたちは庄屋の家に着き、庄屋の妻に玄関先で会いました。「あなた、おかえりなさい。ゆきさま、この粗末な拙宅にようこそ。お上がりください」と言いました。

庄屋が、「ただいま」と、ゆきは「お邪魔します」と言ってから、ゆきたちは家の中に入りました。あっという間に、兄弟・従兄弟たちが、ゆきと一緒にいた庄屋の孫たちを取り囲みました。しばらくして、「何をしてたの?」とか、「ゆきさまはどんな人?」と話す声が聞こえました。その後、孫の男の子は狐子のところに行って手を掴み、「お姉さん、またおかしい顔を作って」と言って、子供たちの方へ連れて行きました。程なく、子供たちの間からくすくす笑う声が聞こえました。

やがて、庄屋の妻は娘たちに手伝ってもらいながら食事を出しました。食事が終わった後で、ゆきは庄屋と内々に話しました。

ゆきは、「庄屋どのは文士だお聞きしたのですが」と言いました。

庄屋は、「そういうわけではございませんが、時々本を読むのをお楽しみいたしております」と答えました。

ゆきは、「『源氏物語』のような本を市場で探していたところ、呉服屋さんも代書屋も、庄屋どのに聞いてみた方が良いと言いました」と言いました。

庄屋は、「『源氏物語』のことでしたら、家内とお話になるのが宜しいかと存じます」と答えました。

ゆきは、「分かりました。奥さまとお話する前に、何か私に仰りたいことはございますか」と聞きました。

庄屋は、「この国の、村から町へ通じている道はあまり良くないそうでございます。百姓にとって作物をこの町へ運ぶのは難しいそうでございます」と言いました。

ゆきは、「はい。殿に必ずこのことを報告しておきましょう。では、奥さまにお話を伺っても宜しいですか」と答えました。

それから庄屋は妻を呼び出しました。ゆきは本を探していることを告げました。「そのような本をお持ちでしょうか」と聞きました。

庄屋の妻は、「ございます」と言って、ゆきを他の部屋に導きました。ゆきが驚いたことに、そこには数渚?フ本がありました。

ゆきは、「それほどたくさん本があるなんて!一冊をお借りしてもよろしいですか」と聞きました。

庄屋の妻は、「ゆきさまは有名な茶道家であるということをお聞きしました。もしゆきさまの茶道を拝見させていただけるなら、何冊でもお貸しいたします」と答えました。

それからゆきは皆に二前にお茶を点てました。その後で、ゆきは庄屋の妻の助けをの駆りながら面白い本を選び、狐たちと一緒に城へ戻りました。
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Post by richvh » Tue 12.26.2006 2:03 am

Chapter 36, with corrections from furin

第三序Z章
城へ帰る

ゆきたちが城に帰ってきた時、日はもう暮れていました。若殿は城門でゆきたちを待っていました。「ゆき、一体なぜこんなに遅くまで帰ってこなかったのだ。市場はとっくに閉まっているに。それに、一冊の本しか持ち帰っていないようだが。今までずっと待っていたのに。どこにいたのだ?」と聞きました。

ゆきは、「ほとんどの時間は、市場にいました。あそこにいる仕立て屋は狐子と同じような着物を作っていますよ。それに、町の庄屋に会いました。その方は私たちと一緒に市場のあちらこちらに行って、いろいろな方に紹介してくださいました。その後で、お宅に行って、夕食を食べて、庄屋と内々にお話をしました。そしてその方の奥さんがこの本を貸してくださいました」と言いました。

狐は、「その通りです」といいました。

ゆきは、「どうしてそのように厳しい口調でお話になるのですか。私は赤子ではありません。祖母が亡くなった後で、一人であの大きな町に歩いて行ったではありませんか」

若殿は、「しかし…」

ゆきは、「結婚式の前、毎晩城から一人で帰ったではありませんか。忍者が襲撃した後、そのまま続けたではありませんか」

若殿は、「しかし…」

ゆきは、「それに、今回私は一人ではありませんでした。この狐どのは私に何度も助けてくださったではありませんか。この方と一緒にいなから安全しないと、一体どこに安全するかとお考えでしょうか」

若殿は、「しかし…」

ゆきは、「明日の会議でお会いしましょう」と、そのまま自分の部屋に帰って行きました。

若殿は、「しかし、心配しなかったら、そのように話さないだろう」と言いました。

狐は、「ご心配ではあられましょうが、それでも優しく話された方が宜しいかと存じます」と言いました。

若殿は、「どうしよう?」と聞きました。

狐は「これからゆきどのを一人の大人として扱った方が宜しいかと存じます。私はそれで失礼させていだきますが、ついでに鼠を探してみることにいたします」と、自分の姿に戻って、立ち去りました。

狐子は、「私が使わせていただけるお部屋を見せていただいてから、ゆきちゃんのお部屋を訪ねてもいいですか。もしかして私がお話をすれば、ゆきちゃんは落ち着くかも知れません」と言いました。

それから若殿は狐子に彼女の部屋に、次いでゆきの部屋に連れて行かせました。


Edit: corrections from mixxer

第三序Z章
城へ帰る

ゆきたちが城に帰ってきた時、日はもう暮れていました。若殿は城門でゆきたちを待っていました。「ゆき、一体なぜこんなに遅くまで帰ってこなかったのだ。市場はとっくに閉まっているに。それに、一冊の本しか持ち帰っていないようだが。今までずっと待っていたのに。どこにいたのだ?」と聞きました。

ゆきは、「ほとんどの時間は、市場にいました。あそこにいる仕立て屋は狐子と同じような着物を作っていますよ。それに、町の庄屋に会いました。その方は私たちと一緒に市場のあちらこちらに行って、いろいろな方に紹介してくださいました。その後で、お宅に行って、夕食を食べて、庄屋と内々にお話をしました。そしてその方の奥さんがこの本を貸してくださいました」と言いました。

狐は、「その通りです」といいました。

ゆきは、「どうしてそのように厳しい口調でお話になるのですか。私は赤子ではありません。祖母が亡くなった後で、一人であの大きな町に歩いて行ったではありませんか」

若殿は、「しかし…」

ゆきは、「結婚式の前、毎晩城から一人で帰ったではありませんか。忍者が襲撃した後、そのまま続けたではありませんか」

若殿は、「しかし…」

ゆきは、「それに、今回私は一人ではありませんでした。この狐どのは私を何度も助けてくださったではありませんか。この方と一緒にいるのに安全でないとすると、一体どこにいたら安全なのかとお考えでしょうか」

若殿は、「しかし…」

ゆきは、「明日の会議でお会いしましょう」と、そのまま自分の部屋に帰って行きました。

若殿は、「しかし、心配しなかったら、そのように話さないだろう」と言いました。

狐は、「ご心配ではあられましょうが、それでも優しく話された方が宜しいかと存じます」と言いました。

若殿は、「どうしよう?」と聞きました。

狐は「これからゆきどのを一人の大人として扱った方が宜しいかと存じます。私はそれで失礼させていだきますが、ついでに鼠を探してみることにいたします」と、自分の姿に戻って、立ち去りました。

狐子は、「私が使わせていただけるお部屋を見せていただいてから、ゆきちゃんのお部屋を訪ねてもいいですか。もしかして私がお話をすれば、ゆきちゃんは落ち着くかも知れません」と言いました。

それから若殿は狐子に彼女の部屋に、次いでゆきの部屋に連れて行かせました。
Last edited by richvh on Wed 12.27.2006 10:19 am, edited 1 time in total.
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Post by richvh » Fri 12.29.2006 11:25 pm

Chapter 37:

第三庶オ章
狐子との会話

狐子はゆきの部屋に着いたとき、ゆきは暗い隅で座って、本を抱いて、泣いていました。狐子は、「ゆきちゃん、その涙を拭いてください。その本を汚したくないだろう」と言いました。

ゆきは、「どうして旦那は私のことが嫌がってるの?」と愁えました。

狐子は、「そういうことはないよ。ゆきちゃんは超遅くなったから、ご主人は心配になったわ。心配したから、言葉は自分のつもりより厳しくなっただろう。ゆきちゃんが出てから、ご主人は酷く落胆してしまった」と答えました。

ゆきは、「本当?」と、涙を払いました。

狐子は、「うそじゃないよ。書くつもりの手紙があるじゃないか。他の蝋燭に火を点けて、紙や筆を見つけて、その手紙を書いてみよう」と言いました。

それからゆきは狐子と話し合いながら、殿様・女将への手紙を書きました。手紙を書き終わった後で、ゆきは蝋燭の火を吹き消し、寝て、狐子は自分の部屋に戻りました。


Corrections from furin:

第三庶オ章
狐子との会話

狐子がゆきの部屋に着いたとき、ゆきは暗い隅で座って、本を抱きながら泣いていました。狐子は、「ゆきちゃん、さあ、涙を拭いて。大切な本が汚れちゃうよ」と言いました。

ゆきは、「どうして殿は私のことを怒っているの?」と尋ねました。

狐子は、「そんなことはないわよ。ゆきちゃんの帰りが遅くなったから、殿はご心配だったのよ。だから、ついつい本当の気持ちよりきついお言葉はになっちゃったのね。ゆきちゃんが去った後、殿はがっくり肩を落としていらしたわ」と答えました。

ゆきは、「本当?」と、涙を払いました。

狐子は、「うそなんかじゃないよ。書くつもりの手紙があったじゃない。ほら、蝋燭に火を点けて、その手紙を書いてみようよ」と言いました。

それからゆきは狐子と話し合いながら、殿様と女将への手紙を書きました。書き終わった後で、狐子は自分の部屋に戻りました。ゆきは蝋燭の火を吹き消してから寝ました。


Edit: more corrections from furin:

第三庶オ章
狐子との会話

狐子がゆきの部屋に着いたとき、ゆきは暗い隅で座ったまま、本を抱きながら泣いていました。狐子は、「ゆきちゃん、さあ、涙を拭いて。大切な本が濡れちゃうよ」と言いました。

ゆきは、「どうして殿は私のことを怒っているの?」と尋ねました。

狐子は、「そんなことはないわよ。ゆきちゃんの帰りが遅くなったから、殿はご心配だったのよ。だから、ついつい本当の気持ちよりきついお言葉はになっちゃったのね。ゆきちゃんが去った後、殿はがっくり肩を落としていらしたわ」と答えました。

ゆきは、「本当?」と、涙を払いました。

狐子は、「うそなんかじゃないよ。書くつもりの手紙があったじゃない。ほら、蝋燭に火を点けて、その手紙を書いてみようよ」と言いました。

それからゆきは狐子と話し合いながら、殿様と女将へ、二通の手紙を書きました。書き終わった後で、狐子は自分の部屋に戻りました。ゆきは蝋燭の火を吹き消してから寝ました。
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Post by richvh » Sat 12.30.2006 10:42 pm

Chapter 38 (not yet corrected):

第三諸ェ章
会議

次の朝、会議の前に、ゆきは老中のところに行きました。「この手紙を二枚、あの大きな町に送りたいですが、自分の印鑑がないので、まだ封じません。この手紙を封じて、送らせて、相応しい印鑑を作らせてくださいませんか」と聞きました。

老中は、「もちろん。ゆきさまのご自分のお父上の同じような印鑑はいかがでしょうか」と答えました。

ゆきは、「それなら、嬉しいです。ありがとうございます」と、立ち去りました。

少しして、ゆきは若殿と老中の会議に参加しました。その間、庄屋との会話のことを報じました。「その道に関して、どうしましょうか。老中どの、父上時代、道はこのような状態だったのですか」と尋ねました。

老中は、「このごろここに旅した道は、その時代、良くありませんでしたけど、現代より良かったです」と答えました。「その時代、それぞれの村は、一部分の税を許すの代わりに、一部分の道を整備しなければなりませんでした。もしかして、次の大名はその取り決めを変えたかも知れません」と答えました。

若殿は老中に、「現代の取り決めを調査してくれ」と、ゆきの方へ向かいました。「ゆき、このことに留意してくれてありがとう。垂オ訳ないが、昨夜の厳しいように話して、ごめんなさい。狐どのが話したように、嫁を一人の大人として方がいい」

ゆきの顔を赤らめました。「いえいえ、遅くなるとやっと分かったとすぐに言付けたべきでしょう」と言いました。「でも、私はこの国をよく知らないので、お腹が大きくなる前に、それぞれの村を訪ねて、あれらの問題などを聞きたいのです」

若殿は、「ここに止まっ…」と、ふと立ち止って、狐の言葉を考えました。「はい。しかし、今回、私も行くつもりだ。老中どの、代理としてここに残ってくれ」

老中は、「馬車がそのような狭くて凸凹した道に通ることができませんと存じます。ゆきどのは馬にお乗りになることができますかと存じます」と言いました。

ゆきは、「馬に乗ったことがありません」と言いました。

若殿は老中に、「馬屋の親方に優しい雌馬を選ばせて、出発までゆきに毎日乗り方を教えてはしい。それに、それぞれの村に使者を送れ」と命じました。

それから他のことについて話しました。


Edit: corrections from miha

第三諸ェ章
会議

次の朝、会議の前に、ゆきは老中のところに行きました。「この手紙を二枚、あの大きな町に送りたいですが、自分の印鑑がないので、まだ封じません。この手紙を封じて、送らせて、相応しい印鑑を作らせてくださいませんか」と聞きました。

老中は、「もちろん。ゆきさまのご自分のお父上と同じような印鑑はいかがでしょうか」と答えました。

ゆきは、「それなら、嬉しいです。ありがとうございます」と、立ち去りました。

少しして、ゆきは若殿と老中の会議に参加しました。その間、庄屋との会話のことを報じました。「その道に関して、どうしましょうか。老中どの、父上の時代、道はこのような状態だったのですか」と尋ねました。

老中は、「このごろここに旅した道は、その時代、良くありませんでしたけど、現在より良かったです」と答えました。「その時代、それぞれの村は、一部分の税を許すの代わりに、一部分の道を整備しなければなりませんでした。もしかして、次の大名はその取り決めを変えたかも知れません」と答えました。

若殿は老中に、「現在の取り決めを調査してくれ」と、ゆきの方へ向かいました。「ゆき、このことに留意してくれてありがとう。垂オ訳ないが、昨夜、厳しく話して、ごめんなさい。狐どのが話したように、嫁を一人の大人として扱った方がいい」

ゆきは顔を赤らめました。「いえいえ、遅くなると分かったときにすぐに言付けるべきだったでしょう」と言いました。「でも、私はこの国をよく知らないので、お腹が大きくなる前に、それぞれの村を訪ねて、問題などを聞きたいのです」

若殿は、「ここに止まっ…」と、ふと立ち止って、狐の言葉を考えました。「はい。しかし、今回、私も行くつもりだ。老中どの、代理としてここに残ってくれ」

老中は、「馬車がそのような狭くて凸凹した道を通ることができないと存じます。ゆきどのは馬にお乗りになることができるかと存じます」と言いました。

ゆきは、「馬に乗ったことがありません」と言いました。

若殿は老中に、「馬屋の親方に優しい牝馬を選ばせて、出発までゆきに毎日乗り方を教えてほしい。それに、それぞれの村に使者を送れ」と命じました。

それから他のことについて話しました。


Edit: corrections from furin

第三諸ェ章
会議

次の朝、会議の前に、ゆきは老中のところに行きました。「この二通の手紙を、あの大きな町に送りたいのですが、自分の印鑑がないので、まだ封じていません。このまま封をして、町へ届けた後で、私に相応しい印鑑を作ってくださいませんか」と聞きました。

老中は、「かしこまりました。ゆきさまのお父上と同じような印鑑ではいかがでしょうか」と答えました。

ゆきは、「それなら、嬉しいです。よろしくお願いします」と、立ち去りました。

少しして、ゆきは若殿と老中の会議に参加し、庄屋との会話のことを報じました。「その道については、どういう手講じるおつもりでしょうか。老中どの、父上の時代からあのように荒れた道だったのですか」と尋ねました。

老中は、「そのころのことを思い出しますと、良い町ほどはありませんでしたが、今よりはずっとましでございました」と答えました。「当時、それぞれの村は、税の一部を免除される代わりに、担当区分の道整備する義務を負っていました。ひょっとすると、後の大名がその取り決めを変えてしまったのかも知れません」と答えました。

若殿は老中に、「現在はどういうことになっているのかを調査してください」と、ゆきの方へ向かいました。「ゆき、このことに留意してくれてありがとう。昨夜、つい厳しい物言いになってしまい、悪かったと思っている。狐どのが言ったように、これからあなたを一人の大人として扱った方がいいようです」

ゆきは顔を赤らめました。「いいえ、遅くなると分かった時点で誰かに言付けを頼むべきでした」と言いました。「でも、私はまだこの国をよく知りません。お腹が大きくなる前に、それぞれの村を訪ねて、さまざまな問題や農民の不満などを直に聞いておきたいと思っています」

若殿は、「ここに止まっ…」と、ふと立ち止って、狐の言葉を思い出しました。「分かりました。しかし今回ばかりは私も一緒に行こうと思います。老中は私の代理として城に残りなさい」

老中は、「馬車がそのような狭くて凸凹した道を通ることはできないと存じます。ゆきどのは乗馬がおできでしょうか」と言いました。

ゆきは、「馬に乗ったことは一度もありません」と言いました。

若殿は老中に、「馬屋の者に気性の優しい牝馬を選ばせて、出発までゆきに毎日乗り方を教えてほしい。それに、それぞれの村に使者を送っておきなさい」と命じました。

それから他のことについても話しました。
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Richard VanHouten
ゆきの物語

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RE: ゆきの物語

Post by richvh » Wed 01.03.2007 11:25 pm

Chapter 39 (uncorrected):

第三暑繽ヘ
旅の準備

狐子はゆきの村に訪ねる嵐閧?キいた時、「私も行きたい」と言いました。若殿は承諾をしました。

旅が始まるまで、ゆきは会議に参加したり、老中から政治、馬屋から馬に乗り方を学んだりしたから、忙しくなりました。一方、狐子は城の女性たちを調査しました。時々、一般の人間の姿にあの人たちに会って、このように言いました。

「この着物が好きなの?京都にいる姫は皆このような着物を着てるようわ。ところで、市場にいる仕立て屋はゆきちゃんのために同じような着物を作ってるよ。ゆきちゃんについて言えば、ゆきちゃんの茶道を見たことがあるの?京都の一番有名な茶道家を見たにもかかわらず、ゆきちゃんの茶道を見た時、息を呑んだよ。もしかしてゆきちゃんに親切に尋ねれば、あなたにもその茶道を見せてかも」

別の場合には、狐子は他の姿に化けました。侍女や、小姓や、猫の姿に化けて、城のあちらこちらに行って、いろいろな会話を聞きました。もしゆきについて悪口を聞いたら、あっという間にその話し手は針で指を刺したり、床にあるひびに躓いたり、何か持っている物を落としたりしてしまいました。薄紙をはぐように、そのように悪口している人たちはいなくなるように、ゆきの茶道を見せてほしいと頼んでいる人たちは多くなりました。

出発の前日に、若殿は盛大な宴会を催しました。城にいる侍と女性は皆招待されました。その間、ゆきは新しい着物を着て、茶道を見せました。茶道を見るとき、皆は感動して、ゆきの腕を賞賛しました。


Edit: corrections from furin

第三暑繽ヘ
旅の準備

狐子は、ゆきが村を訪ねて回る嵐閧?キいた時、「私も行きたい」と言い出しました。若殿はそれを承諾しました。

旅が始まるまで、ゆきは会議に参加したり、老中から政治、馬屋の者から馬に乗り方を学んだりして、忙しく暮らしました。一方、狐子は城の女性たちを調べていました。そして人間の姿に彼女たちに向かって、このように言うこともありました。

「この着物が気に入ったの?京都のお姫さまは皆このような着物を着ているのよ。ところで、市場にいる仕立て屋はゆきちゃんのためにこると同じような着物を作ってるわ。あ、ゆきちゃんと言えば、あなたたち、彼女のお茶会を見たことがあるの?私は京都の一番有名な茶道家を見たことがあるんだけど、それでもゆきちゃんのお点前を見た時は、思わず息を呑んじゃったわ。ゆきちゃんに優しく尋ねてみたら、あなたたちも出席させてもらえるかも」

狐子は他の姿に化けて現れることもありました。侍女や、小姓や、猫の姿に化けて、城のあちらこちらで、いろいろな会話を聞くのです。もし、ゆきの悪口を話している人がいたら、たちまちその人指には針を刺してしまったり、床板に躓いたり、何か持っている物を落としたりしました。薄紙をはぐように、いつの間にか悪口を言う人たちはいなくなり、ゆきのお点前を見せてほしいと頼んでくる人たちは多くなっていきました。

出発の前日に、若殿は盛大な宴を催しました。城仕えている者たちは残らず招待されました。宴が一段落したところで、ゆきは新しい着物に着替え、お茶を点てました。その様子を見るや、皆は感動のあまり、しきりにゆきを賞賛し始めました。
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RE: ゆきの物語

Post by miha » Thu 01.04.2007 12:22 am

38章は、タイポとか、「てにをは」だけを直しましたので、風鈴さん、よろしくお願いします。

もれが1つありました。「乗り方を教えてはしい。」−−−>「乗り方を教えてほしい。」

1. それから、当時の手紙を書く紙は、巻紙だと思うので、1枚、2枚と書くのではなく、1枚に続けて書くのではないかと思いました。

2. 当時は、身分の高い女性は馬に乗らないと思います。

(上記は、別のところでコメントずみです。私は歴史に弱いので、詳しいことはわかりません。)


風鈴さんに、お任せします。たいへんでしょうが、よろしく、お願いします。

39章は、風鈴さんの訂正が入ってから、「てにをは」を見ます。

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RE: ゆきの物語

Post by richvh » Thu 01.04.2007 3:36 pm

I edited in the typo that for some reason I missed here (but which I had corrected on my website.) I just got an email from Furin with corrections to Chapters 37 & 38 and have edited them in above. (Now to fix the website. Editing ruby - fun, fun fun. :p )

1. Furin corrected 二枚 to 二通.
2. Yuki isn't your ordinary noblewoman. The 若殿 is just going to have to learn to cope with this young wife of his who refuses to behave like a proper noble's wife.
Richard VanHouten
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RE: ゆきの物語

Post by miha » Fri 01.05.2007 5:07 am

richvhさん、
richvh wrote:

1. Furin corrected 二枚 to 二通.
2. The 若殿 is just going to have to learn to cope with this young wife of his who refuses to behave like a proper noble's wife.
1. わかりました。
2. この意味がよくわからないのですが、身分の高い女性が馬に乗らないのであれば、教える必要がないのではないですか?ゆきは、身分が高くなったのですから。

Edit: 38章を読んでからわかりました。凸凹した道なので、馬車で行けないから、乗馬を習うんですね。
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RE: ゆきの物語

Post by miha » Fri 01.05.2007 5:55 am

39章は、furinさんがチェックしてからですが、私はタイポだけをチェックをしますが、

「茶道を見せる」というのが気になる阜サです。

たぶん、これは茶道の腕前の意味では、「お手前を見せる」、「お手前を拝見する」というのでしょう。

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